読み終えた、その第一声
読み終えて、いちばん強く思ったのは——「この人たち、本当に勇気があるな」ということでした。
前作『春の舞』が、理不尽な世界で懸命に立つ二人の”切なさ”の物語だったとすれば、『夏の舞』は、その理不尽に真っ向から立ち向かっていく”勇気”の物語。世界は相変わらず過酷で、次々と不条理が襲いかかる。それでも、絶望の底から立ち上がっていく代行者たちの姿に、何度も胸を打たれました。
暁佳奈さんの『春夏秋冬代行者 夏の舞』。シリーズ2作目です。今回もネタバレなしで書いてみます。
どんな話?
季節を司る現人神、「四季の代行者」たちの物語、その第2章。
前作で春の代行者・雛菊が帰還したのち、物語の中心は夏へと移ります。夏の代行者を務めるのは、葉桜(はざくら)姉妹。双子の少女神です。
その双子に、前代未聞の出来事が起こります。それは吉兆か、凶兆か——。ざわめく周囲、忍び寄る理不尽。姉妹は、そして四季を司る者たちは、過酷な運命に立ち向かっていくことになります。
※物語は前作『春の舞』の続きにあたります。世界観や登場人物の背景は、春の舞から読むとより深く楽しめます。
前作はこちら↓

そして季節の物語の傍らでは、朝を司る者たちの物語も動いていました。

心に残ったこと
絶望の底から、立ち上がる
この巻で描かれる状況は、今回も理不尽そのものです。ようやく掴めそうだった幸せが、あっけなく手からこぼれ落ちていく。代行者たちは、何度も絶望の淵に立たされます。
でも——この物語がすごいのは、そこで終わらないこと。
どれだけ打ちのめされても、誰かが先に立ち上がる。その勇気が、隣の誰かを動かし、やがて大きなうねりになっていく。折れたまま終わらない。倒れても、また立つ。理不尽に対して、こんなにも必死に、こんなにも勇敢に抗う人たちがいる——その姿に、わたしは何度も奮い立たされました。
苦しい展開が続くのに、読後感が重すぎないのは、この”勇気”がずっと物語を照らしているからだと思います。
双子の、姉妹の絆
夏の代行者である葉桜姉妹の関係も、心に残りました。
双子である二人は、けれど最初から何もかも分かり合えていたわけではありません。すれ違い、時にぶつかりながら、それでも困難の中で、互いを思いやり、支え合っていく。片方がもう片方を守り、また守られる。血の繋がった二人だからこその、簡単じゃないけれど、確かな絆。その姿に、じんわりと胸が温かくなりました。
そして、わくわくした
意外だったのは——切なさや過酷さだけでなく、しっかり”わくわく”もしたこと。
詳しくは伏せますが、この巻には、シリーズを読んできた人ならきっと胸が熱くなる展開があります。前作にはなかった高揚感。切ない、美しいだけじゃない、エンターテインメントとしての面白さも加わって、ページをめくる手が止まりませんでした。
こんな人におすすめ
- 『春の舞』を読んで、この世界にもっと浸りたくなった人
- 逆境でも、絶望から立ち上がる強さに心を動かされたい人
- 切なさだけでなく、胸が熱くなる展開も味わいたい人
こちらも上下巻で一つの物語です。上巻だけでは途中で終わってしまうので、読むなら上下セットがおすすめです。
まとめ
理不尽な世界で、必死に戦う人たちは、こんなにも勇敢だ——読み終えて残ったのは、その熱い想いでした。
過酷さは、今作も変わりません。それでも、絶望から何度でも立ち上がる代行者たちの姿は、前作の切なさとはまた違う形で、確かに胸を打ちます。切なさと、絆と、そして立ち向かう勇気。夏の代行者たちの戦いを、ぜひ見届けてほしいです。


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