
こんにちは、遊華です。今回は、今回は「命の価値」を問いかけてくる、駄犬さんの『死霊魔術の容疑者』をご紹介します。
読み終えた、その第一声
読み終えて、いちばん強く思ったのは——人の価値は、自分で磨いてこそ生まれるんだな、ということでした。
誰かに与えられたものは、たしかにある。でも、それを本当の意味で自分のものにできるかどうかは、そこからどう積み上げるか次第なんだ、と。ファンタジーを読んで、こんなに背筋が伸びる思いをするとは思っていませんでした。
今回もネタバレなしで書いてみます。
どんな話?
巨大な版図を誇るラーマ国。しかし、一代で大国を築き上げた「武王」が病に倒れたことで、各地で反乱が勃発します。国は滅亡の危機に——。
ところが、その反乱軍を突如アンデッドの軍団が襲い、次々と鎮圧していく。不死の軍勢を操れるのは、禁忌とされる死霊魔術師だけ。
いったい誰が、その禁忌に手を出したのか。行方を追う人々。そして、怪しげな屋敷に出入りする一人の少女——ルナ。
赤い瞳、白い肌、金色の髪。彼女は、何者なのか。
駄犬——「小説家になろう」発の作家。デビュー作『誰が勇者を殺したか』で注目を集め、本作もWeb連載を経て書籍化されました。
心を掴まれたこと
自分に課したものを、守り抜く
この物語でいちばん胸を打たれたのは、ルナという少女の在り方でした。
彼女には、自分に課したものがあります。それが何なのか、そしてそれを守ることがどれほど過酷なことなのかは、ぜひ本編で確かめてほしいのですが——誰に見られているわけでもないのに、途方もない時間をかけて自分と、とある人との約束を守り抜く。
褒められるためでもない。誰かに認められるためでもない。約束したからでもなく、そう在ろうと決めたから、そう在り続ける。その静かな強さに、完全にやられました。
与えられるものも、押しつけられるものも、自分では選べません。それでも、そこからどう生きるかは自分で選ぶ。ルナの姿が、それを黙って証明してみせるんです。
「永遠の命はほしい?」
この物語には、命の価値をめぐる問いが流れています。
長く生きることに、意味はあるのか。何かを失ってまで手に入れたいものとは何か。答えを押しつけてくるわけではなく、ただ物語として差し出される。だからこそ、読み終えたあとも考えてしまいます。
ファンタジーの器を借りながら、問われているのはとても現実的なことでした。
こんな人におすすめ
- ファンタジック・サスペンスの中に、人の生き方を読みたい人
- 逆境の中で、自分を律し続ける主人公が好きな人
- サスペンスの中でも、心温まる人間ドラマが好きな人
「ファンタジーはあまり読まない」という人にも、意外と届く一冊だと思います。
まとめ
人の価値は、自分で磨いてこそ——読み終えて残ったのは、その実感でした。
派手な魔術や大軍の戦いも描かれますが、いちばん強く心に残ったのは、ひとりの少女が自分と、とある人と交わした約束を守り続ける姿でした。静かで、途方もなく強い物語です。

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