
こんにちは。遊華です。今回は、殺人鬼が自分の模倣犯を追うミステリ、殊能将之さんの『ハサミ男』をご紹介します。
読み終えた感想
最後のページまで読んで、思わず声が出ました。
「は?」
数秒たって、ようやく次の言葉が追いついてきます。やられた、と。
読んでいるあいだは、先を予想しながら読んでいたつもりでした。それでも最後には、きれいに足をすくわれていました。
『ハサミ男』はどんな小説?
美少女ばかりを狙い、研ぎ上げたハサミを首に突き立てる連続殺人鬼、通称「ハサミ男」。三人目の獲物を決め、その少女の生活を綿密に調べ上げていました。
ところが、ハサミ男は彼女の死体を見つけてしまいます。しかも、自分とまったく同じ手口で殺されていた。
自分以外の誰が、なぜ彼女を殺したのか。ハサミ男は、自分の模倣犯を探しはじめます。
1999年に第13回メフィスト賞を受賞した、殊能将之さんのデビュー作です。
殊能将之(しゅのうまさゆき)。1964年1月19日 – 2013年2月11日。福井県出身。名古屋大学理学部中退。その後編集プロダクションでの勤務を経て、1999年に「ハサミ男」でデビュー。覆面作家。(読書メーターより)
実際に読んで感じた面白さ
殺人鬼の側で、ハラハラしている
普通のミステリなら、読者は事件を追う側に立って「犯人は誰だろう」と考えます。でもこの作品で読者が寄り添うのは、追われる側の殺人鬼です。
獲物を調べ上げていたことが、警察にばれないか。疑いの目を向けられないか。読みながら、なぜか殺人鬼と一緒に息をひそめている自分がいました。
楽しい、というのとは少し違います。でもずっとハラハラしていて、ページをめくる手が止まりませんでした。
疑いをかわす手際に、思わず感心
もうひとつ印象に残ったのが、ハサミ男の隠し方のうまさです。疑われそうな場面でも、するりとかわしていく。その手際に、読んでいて「うまいな…」と感心してしまいました。
殺人鬼に感心するのもおかしな話ですが、それだけ物語の運びが巧みだということだと思います。
「は?」となる結末
推理しながら読んでいくと、途中で「もしかして…」と見当がつく部分もありました。私も、真相が近づくにつれてなんとなく察した場面があります。
それでも、最後に出た言葉は「は?」でした。
結末については、何も書けません。書いた瞬間に、この本のいちばんおいしいところがなくなってしまうからです。
ひとつだけ言えるのは、最後まで読んだとき、私は本当に「は?」と声に出していたということ。そしてその数秒後に「やられた!」が来ました。
驚きのあとに、悔しさよりも先に感心が来る。どんでん返しの傑作と呼ばれる理由が、読み終えてよくわかりました。
怖い?グロい?
個人的には、グロさはそれほど感じませんでした。
ただ、殺人鬼が主役の物語なので、暴力的な場面がないわけではありません。あらすじにもある通り、首にハサミを突き立てる描写がありますし、ほかにも痛々しい場面がいくつか出てきます。
また、自殺をほのめかす場面が何度か出てきます。苦手な方は気をつけてください。
それでも描写がしつこく続くわけではなく、読んでいて目を背けたくなるほどではありませんでした。怖さでいえば、グロテスクな怖さよりも、殺人鬼の側に立たされるハラハラのほうがずっと大きかったです。
どんな人におすすめ?
- 最後に大きく驚かされたい人
- 犯人側の視点で進むサスペンスが好きな人
- 評判の名作ミステリを、ネタバレを踏む前に読みたい人
とくに3つ目の方へ。この作品は、調べものをしているうちに結末に触れてしまいやすい一冊です。気になっているなら、できるだけ早く読んでしまうのがおすすめです。
メディア展開
2005年には映画化もされています(監督:池田敏春さん)。私はまだ観ていません。
こちらも、原作と比較しながら見たいなと思います。
まとめ
殺人鬼が、自分の模倣犯を追う。その導入だけでも十分に面白いのに、最後には大きな驚きが待っています。
読み終えて私の口から出た「は?」は、きっとこれから読む人の口からも出るはずです。評判だけが先に耳に入ってしまう前に、ぜひ。



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