『殺戮にいたる病』感想|作者の思惑通りに呆然、叙述トリックの傑作【ネタバレなし】

読書感想

こんにちは、遊華です。今回は、我孫子武丸さんの『殺戮にいたる病』、ネタバレなしで紹介します。

我孫子武丸さんの『殺戮にいたる病』は、叙述トリックの名作として知られる一冊です。

ただ、私はそれすら知らずに読み始めました。あらすじも見ていません。

だから、読み終えたときに浮かんだのはこの一言です。

作者の思惑通りになった。

最後のページを閉じて、しばらく呆然としていました。そして、もう一度最初から読み直したくなりました。

たぶん、叙述トリックだと知っていても結果は同じだったと思います。身構えて読んでも、きっと作者の思惑通りになります。

どんな話?

東京の繁華街で、猟奇的な殺人を重ねる男がいる。その名は蒲生稔。永遠の愛を手に入れたいと願う彼は、同じ行為をくり返していく。

物語は、彼の行動と心の動きを追いながら進んでいきます。

1992年に刊行された作品で、30年以上たった今も「どんでん返し」「二度読み」のミステリを語るときに、必ずといっていいほど名前が挙がる一冊です。

~著者について~

我孫子 武丸—— 1962年、兵庫県生まれ。京都大学文学部中退。在学中は推理小説研究会に所属していた。1989年『8の殺人』で作家デビュー。主な作品に『人形はこたつで推理する』から始まる〈人形〉シリーズほか、『殺戮にいたる病』『探偵映画』『弥勒の掌』『修羅の家』などがある。ゲームソフト〈かまいたちの夜〉シリーズの制作でも知られる。(講談社より)

読む前に、ひとつだけ

この作品は描写がかなり強烈です。暴力的な場面や性的な場面が、とても生々しく書かれています。

活字なのに、映像で見るより目を背けたくなる。書かれていることがあまりに具体的で、読み手の想像が勝手に補ってしまうからだと思います。なんでここまで知ってるん?と思うほどのリアルさで、グロには耐性があるつもりの私でも、何度か「うっ」となりました。

同じく描写の強い作品として貴志祐介さんの『黒い家』の感想も書いていますが、個人的にはこちらのほうが上でした。

苦手な方は、どうか無理をしないでください。

読みどころ

怖さより、先が知りたい

正直、怖さはありました。読んでいて気持ちのいい場面はほとんどありません。

それでも、ページをめくる手が止まりませんでした。この先どうなるのか、どこへ着地するのか。怖さよりも、結末を知りたい気持ちのほうがずっと強かった。気づけば一気に読み終えていました。

30年以上前の作品とは思えない

刊行は1992年。私が読んだのは講談社文庫の新装版ですが、物語そのものは30年以上前に書かれたものです。読む前は多少の古さを覚悟していました。

でも、読んでいるあいだ一度も気になりませんでした。時代の違いに引っかかって手が止まることもなく、ただ先が知りたくてページをめくっていた。

たぶん、この物語が描いているのが道具や流行ではなく、人の内側だからだと思います。人が何を求め、どこで壊れていくのか。そこは30年たっても変わらない。だから今読んでも、ちゃんと怖いんです。

読み終えて、もう一度最初から

最後まで読むと、それまで読んできたものの見え方が変わります。

すぐにでも最初のページに戻りたくなる。確かめたくなる。そういう読後感の本は、そう多くありません。

こんな人におすすめ

  • 最後に大きく驚かされたい人
  • 叙述トリックものが好きな人
  • ホラーやサスペンスの強い描写に耐性がある人

 おすすめしにくい人

  • 暴力的・性的な描写が苦手な人

まとめ

何も知らずに読んで、作者の思惑通りになった一冊でした。

ここまで読んでくださって、ありがとうございます。できればこの先は何も調べずに、ページを開いてみてください。私と同じように、しばらく呆然するのではないでしょうか・・・。

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