『探偵小石は恋しない』感想|「もしかして…」からのどんでん返し【ネタバレなし】

読書感想

こんにちは、遊華です。今回は、ミステリオタクの探偵が主人公の本格ミステリ、森バジルさんの『探偵小石は恋しない』をご紹介します。

読み終えた率直な感想

読み終えて、最初に出てきた言葉はこれでした。

きた!どんでん返し。

実は読んでいる途中で、「もしかして…」と思った瞬間もあったんです。それでも最後には、見事にやられていました。気づいたつもりでいたぶん、悔しさと気持ちよさが一緒にやってくる。そんな読後感の一冊です。

『探偵小石は恋しない』はどんな小説?

福岡で探偵事務所を営む小石は、筋金入りのミステリオタク。いつか名探偵のように、華麗に事件を解決する日を夢見ています。

ところが実際に舞い込む依頼は、9割9分が不倫や浮気の調査。推理の出番はなかなか来ません。それでも小石が調査をこなし続けるのは、ある理由から。

色恋の調査が「病的に得意」だから。

相談員の蓮杖とともに、今日も色恋案件に追われる小石。ところが事件は、思いもよらないところで起きていて——。

2025年9月に小学館から刊行され、2026年の本屋大賞では8位に入りました。『名探偵コナン』109巻の「青山剛昌の探偵図鑑」で小石が紹介されたことでも話題になっています。

~著者について~

森バジル——1992年宮崎県生まれ。九州大学卒業。2018年、第23回スニーカー大賞《秋》の優秀賞を受賞。2023年、『ノウイットオール あなただけが知っている』で第30回松本清張賞を受賞し、単行本デビュー。2025年に刊行した『探偵小石は恋しない』で2026年本屋大賞第8位、ミステリ好きの読者が選ぶMRC大賞2025第1位、2025年ミヤボン大賞受賞。他の著作に『なんで死体がスタジオに!?』がある。(作家の読書道より)

読んで感じた面白さ・魅力

「作者、絶対同世代だよな・・」と思った話

読んでいて何度もニヤリとしたのが、作中にちらほら出てくる作品名です。名作ミステリのタイトルもあれば、懐かしい少女漫画のタイトルもある。

『学園アリス』『きらりん☆レボリューション』『ストロボ・エッジ』——このあたりの名前を見たとき、思わず「作者、絶対同世代だよな・・」と声が出ました。花とゆめ、ちゃお、別冊マーガレット。あの頃、夢中でページをめくっていた記憶が一気によみがえります。

あとで知ったのですが、森バジルさんはエッセイの中で、これまでの作品でも実在の固有名詞をたくさん出してきたと書いています。つまり、あの懐かしさは狙ってのもの。同じ時代に同じものを読んでいた人なら、物語とは別のところでも楽しめるはずです。

相談員・蓮杖がいい人すぎる

小石の探偵事務所には、相談員の蓮杖という男性がいます。小石の横で、事務所を一緒に切り盛りしている存在です。

詳しくは書けないのですが、読み進めるうちに、蓮杖という人のことがどんどん好きになっていきました。読み終えたとき、思わず「蓮杖、いい人だ・・」とつぶやいていたほどです。

ミステリとしての仕掛けについて(ネタバレなし)

この本の公式の紹介文には、「そのひと言で、世界が一変する」という一文があります。読み終えた今、まさにその言葉どおりだったと思います。

途中で「もしかして…」と思えた部分もありました。でも、それで全部がわかったわけではありませんでした。最後の最後で、それまで見ていたものがひっくり返る。その気持ちよさは、ぜひ自分で味わってほしいです。

恋愛要素はある?

タイトルに「恋」とあるので、恋愛小説なのかなと思う方もいるかもしれません。でも、この作品はあくまでミステリです。

小石の探偵事務所に来る依頼は、ほとんどが不倫や浮気の調査。色恋は、仕事として間接的に関わってくる形です。恋愛ものを読みたい気分の方より、ミステリを読みたい方に向いている一冊だと思います。

どんな人におすすめ?

  • どんでん返しのあるミステリが好きな人
  • 2000年代の少女漫画を読んでいた人
  • 福岡が舞台の物語が好きな人

シリーズの読む順番

  1. 『探偵小石は恋しない』
  2. 『探偵小石は戻らない』

続編も刊行されています。小石と蓮杖のその後が気になる方は、ぜひ続けてどうぞ。

まとめ

「もしかして…」と思いながら読み進めて、最後に見事にやられる。どんでん返しの気持ちよさと、同世代ならではの懐かしさ。その両方を味わえる一冊でした。

読み終えたあと、蓮杖のことを少しだけ思い出してみてください。きっと、私と同じことをつぶやくはずです。

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