『invert II 覗き窓の死角』感想|城塚翡翠シリーズ3作目をネタバレなしで

相沢沙呼

こんにちは、遊華です。今回は、城塚翡翠シリーズ第3弾、相沢沙呼さんの『invert II 覗き窓の死角』を紹介します。

「まさか、そこから!?」——読みながら、何度そう思ったかわかりません。

本書籍は、『medium 霊媒探偵城塚翡翠』『invert 城塚翡翠倒叙集』に続く、城塚翡翠シリーズの第3作です。

この記事では、結末やトリックの核心には一切触れず、ネタバレなしでこの本の魅力をお伝えします。前作まで読んで続きが気になっている方、倒叙ミステリをじっくり味わいたい方へ向けた感想です。

はじめに

今回も私は、特等席のつもりでいた。
『覗き窓の死角』——そのタイトルの意味も、まだ知らないまま。
翡翠のお手並みを、ゆったり見届けるだけのはずだった。

——なのに。手がかりは、私がずっと見ていたのとは、まるで逆の場所から現れた。
心の中で、思わず声が出た。「まさか、そこから?」

invert IIってどんな本?短編1本と、長編1本

『invert II 覗き窓の死角』は、前作『invert 城塚翡翠倒叙集』に続く、城塚翡翠シリーズの第3作。引き続き、犯人が最初から分かっている「倒叙ミステリ」のスタイルです(倒叙ミステリって何?という方は、invertの感想記事もどうぞ

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この本は、短編が1本と、長編が1本という構成。それぞれ別の事件が描かれます。ボリュームでいうと、短編で一度きっちり楽しませてから、その後にたっぷりとした長編が控えている、という流れです。

短編のほうは、翡翠の鮮やかな手際を、肩の力を抜いて楽しめる感じ。「さすが翡翠」と安心して見ていられる——かと思いきや、ちゃんと小さな驚きも仕込まれていて、油断できません。

そして、長編。これが、くせ者でした。前作を知っているとニヤッとする瞬間もありつつ、私は思いきり足元をすくわれることになります。詳しくは、感想のところで(もちろんネタバレなしで)お話しします。

~著者について~

相沢沙呼(あいざわ・さこ) 1983年埼玉県生まれ。2009年『午前零時のサンドリヨン』で第19回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。繊細な筆致で、登場人物たちの心情を描き、ミステリ、青春小説、ライトノベルなど、ジャンルをまたいだ活躍を見せている。『小説の神様』(講談社タイガ)は、読書家たちの心を震わせる青春小説として絶大な支持を受け、実写映画化された。本作で第20回本格ミステリ大賞受賞、「このミステリーがすごい!」2020年版国内編第1位、「本格ミステリ・ベスト10」2020年版国内ランキング第1位、「2019年ベストブック」(Apple Books)2019ベストミステリー、2019年「SRの会ミステリーベスト10」第1位、の5冠を獲得。さらに2020年本屋大賞ノミネート、第41回吉川英治文学新人賞候補となった。(講談社文庫 相沢沙呼「城塚翡翠シリーズ」特設サイトより)


【ネタバレなし】「まさか、そこから!?」——完全に、死角だった

この長編の何に驚いたのか。それを具体的に書けないのが、本当にもどかしい。書いた瞬間、この物語の一番おいしいところを奪ってしまうから。

それでも、この驚きだけは残しておきたい。
私はちゃんと、見ていたつもりでした。倒叙ミステリの3作目。翡翠がどう崩すのか、どこにほころびが生まれるのか——特等席から、しっかり見届けるつもりで読んでいた。

それなのに、決定的なものは、私がずっと見ていた方向とは、まるで逆側から現れたんです。
「まさか、そこから出てくるの!?」——そこからはもう、ページをめくる手が止まりませんでした。この先どうなるのか、見たくて見たくて、気づけば一気に読み終えていた。

悔しいけれど、これは完敗でした。だって、疑いもしなかった場所なんだから。視界をよぎったのは、ほんの一瞬。まさかそんなものが決定打になるなんて、思いもしなかった。タイトルの『覗き窓の死角』という言葉が、読み終えたあと、じわじわと効いてくる。ああ、死角って、こういうことか、と。

前作invertの驚きが「その手がかりで崩すの!?」だったとすれば、今作は「そこから手がかりが出てくるの!?」。同じ倒叙なのに、驚きの質が違う。シリーズを重ねても、まだ新しい驚かせ方を用意してくるのか——と、翡翠に、そして作者に、また一本取られました。


城塚翡翠シリーズの読む順番【invert IIは3作目】

『invert II 覗き窓の死角』は、城塚翡翠シリーズの3作目。読む順番は、刊行順がそのまま正解です。

  1. medium 霊媒探偵城塚翡翠(2019年)
  2. invert 城塚翡翠倒叙集(2021年)
  3. invert II 覗き窓の死角(2022年)

シリーズはこの順番で読むことを強くおすすめします。特に1作目『medium』には、シリーズ全体の土台になる大きな仕掛けがあるので、ここから読まないと後の作品の楽しみが大きく損なわれてしまいます。invert IIから入るのは、絶対にもったいない。

まだの方は、ぜひmediumから。各作品のネタバレなし感想はこちらです。

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こんな人におすすめ

『invert II 覗き窓の死角』は、こんな人にぜひ読んでほしい一冊です。

  • 『medium』『invert』を読んで、続きが気になっている人(私自身、続きが読みたくてそのままの勢いで手に取りました。その勢いのまま読んで正解でした)
  • 倒叙ミステリの「崩し」を、じっくり長編で味わいたい人(メインの長編は読みごたえたっぷり)
  • 翡翠の鮮やかな手際を、もう一度味わいたい人(3作目でも、驚きはまったく色あせていません)

シリーズ未読の方は、繰り返しになりますが、必ず『medium』から。この驚きは、順番に読んできた人にこそ、いちばん深く刺さります。


まとめ

特等席で見届けるつもりが、まんまと死角を突かれる。
シリーズ3作、翡翠は一度も同じ驚かせ方をしてこなかった——mediumの「そうきたか」、invertの「それが決め手!?」、そして今作の「まさか、そこから!?」。

3作目にして、まだ新しい景色を見せてくれるシリーズです。あなたの”死角”がどこにあったのか。それは、読み終えたあなただけが知ることになります。


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